西洋法制史 第三部 ローマ法の継受

中山 元

12 学識法曹とローマ法継受

12.1 学識法と社会
▼両法博士とは何か
▼学識法曹は社会とどのように接触したか
▼鑑定活動について述べよ
▼註解学派の代表者とその役割について
▼「博士たちの共通見解」ては何か
▼イタリア学風とはどのような学風か
▼「ローマ法の継受」とよばれたものは何か
▼一般法化について説明せよ
▼法生活の学問化とは何か
▼学識訴訟とはどのようなものか、訴訟手続きを学問的なものとし、専門化させたのは何かことを言う。この変化をもたらしたのは教会である。
▼カノン法訴訟手続きの特徴を述べよ。
12.2 ローマ法継受の理念
▼ローマ理念とは何か、「書かれた理性」とは
▼理論的な継受はどのようにしておこなわれたか
▼実務的な継受はどのようにしておこなわれたか
12.3 ローマ法継受の現実
▼ドイツの皇帝理念の影響について
▼イタリア学風の支配について
▼ドイツでは法律はどのように分裂していたか
▼金印勅書は何を定めたか、その目的は何か
 ▼皇帝カール四世はどのような貢献をしたか
▼帝国改造計画について
▼マクシミリアン一世の帝国改造計画について説明せよ
▼領邦レベルでは、ローマ法はどのように継受されたか
▼成文法地域とはどこのことか
▼慣習法地域とはどこのことか
▼フランス国王は、ローマ法をどのように処理したか
▼ルイ九世はどのように改革したか
▼パルルマンとはどのような制度か、どのような法学がおこなわれていたか
▼イングランドではローマ法が継受されなかった三つの理由をあげよ
▼ウェーバーの語る「手工業的な教育」とは
▼ローマ法の継受と「学問的な教育」の関係はどのようなものか
▼ローマ法と慣習法の関係について
▼コモンローはどのようにして優位を占めたか
▼コモンローとエクイティの関係は
▼コモンローの法源はどのようなものか
▼コモンローの改善プロセスについて
▼法とエクイティの並列というイングランド法の特徴について述べよ
▼コモンローの危機とは何か
▼クックによる「イングランド法の制度」について説明せよ
▼アメリカ合衆国ではコモンローはどのように導入され、発展したか

13 帝室裁判所と宗派対立

13.1 帝国改革
▼帝室裁判所とは
▼中世末の神聖ローマ帝国の状況
▼当時の帝国はどのような危機を迎えていたか
▼クザーヌスの協会改革論
▼ジギスムントの改革の主張
▼改革を困難にしていた理由は
▼改革派の諸侯の要求
13.2 帝室裁判所の設置
▼マクシミリアン一世による帝国の改革
▼平和令の必要性
▼永久ラント平和令
▼帝国クライスとは
▼帝室裁判所はどこに設置されたか
▼裁判官の構成
▼判決人の役割
▼帝室裁判所の管轄権
▼帝室裁判所の上訴審としての役割
▼ローマ法の継受との関係
13.3 帝国宮内法院
▼帝国宮内法院とは
▼その特徴
▼委員会の役割
▼帝国宮内法院管轄権
▼評価が低かった理由
13.4 宗派対立の中の帝国裁判所
▼帝国の裁判所と宗派対立
▼農民戦争と学識訴訟
▼神の法をめぐる戦い
▼農民の要求の敗北
▼教会財産の没収による富
▼領邦教会制とは
▼1529年のシュパイアー帝国議会
▼プロテスタントの名称の由来
▼カトリックによる法廷闘争
▼アウクスブルクの宗教平和令のもたらしたもの
▼「各領域の宗教はその統治者の宗教に従う」の原則
▼プロテスタントの勢力拡大方法
▼修道院をめぐる四つの訴訟
▼帝室裁判所がどのようにして機能しなくなったか
▼帝国都市ドナウヴェルトの事件について説明せよ
▼裁定訴訟の性格
▼同盟と連盟の対決

14 糾問訴訟と魔女裁判

14.1 糾問訴訟とは何か
▼糾問訴訟とは
▼弾劾手続きを行うのは誰か
▼現行犯手続きに必要な条件
▼「七人による宣誓手続き」
▼「ラントにとって有害な人々」とは
▼ドイツ的な糾問訴訟の手続き
▼この手続きの問題点
▼糾問訴訟のシステムの登場
▼その三つの原則
▼職権主義の原則
▼捜査原則とは
▼実体的真実原則とは
▼ドイツ的な糾問訴訟には何が欠けていたか
▼どうして拷問が行われたか
▼徴憑理論とは
▼主要事実と間接事実の分類
▼拷問の防止
▼訴訟の学識化
14.2 カロリーナ刑事法典
▼この法典はいつ制定されたか
▼バンベルク刑事裁判例の役割は
▼シュヴァルツェンベルクとは
▼カロリーナ刑事法典の制定の経緯
▼この法典の構成
▼二つの訴訟形式
▼証明手続きと拷問の防止
▼その歴史的な意義 
14.3 魔女裁判とカルプツォフの功罪
▼ヴォルテールは糾問訴訟にどのような印象を抱いたか
▼糾問訴訟と魔女裁判の違い
▼この訴訟への誤解はどうして生まれたか
▼異端審問や魔女裁判の手続き
▼ドイツ刑法学の父とは誰か
▼カルプツォフと魔女裁判
▼魔女裁判の法的な側面
▼魔女裁判の社会史的な評価

15 ローマ法の相対化

15.1 人文主義法学
▼人文主義法学とは何か
▼古代の著作についてのルネッサンスと中世の学問の違い
▼人文主義による中世のローマ法学批判
▼三巨頭とは誰か
▼イタリアのアルチャートによる改革
▼イタリア学風はどのような問題を引き起こしていたか
▼人文主義法学の無力
▼フランス学風とは
▼フランスのビュデ
▼ビュデの指摘した中世法学の欠陥
▼ローマ法はどのようにして歴史的に相対化されたか
▼人文主義法学におけるローマ法の意味
▼科学的研究への道
▼法の体系化の試み
▼オトマンによるローマ法批判
▼ドノーによる反論
▼フランス人文主義法学からオランダ学派へ
▼ドイツの事情
▼ツァジウスによるローマ法批判
▼フライブルク改革都市法典の長所
▼改革法典とは何か
▼ドイツ人文主義の特殊事情
15.2 ヘルマン・コンリング
▼コンリングの見たオランダ
▼ネーデルランド後期人文主義の特徴
▼リプシウスの蛮族史
▼四帝国理論とは
▼支配権移転理論とは
▼コンリング「ゲルマン法の起源」
▼コンリングによる帝国国制研究
▼帝国市民とは誰か
▼皇帝権力にはどのような制約があるか
▼コンリングの功績
▼ロータル伝説はどのように否定されたか
▼メランヒトンの果たした役割
▼ローマ法はどのような形で継受されたと考えられたか
▼ローマ法はどのような範囲で継受されたか
▼コンリングはどのような意味でドイツ法史の創始者と呼ばれたか
▼ローマ法はどのようにして相対化されたのか

課題

■課題一 ローマ法の継受の全般について、文献(1)、文献(2)、文献(3)、文献(4)、文献(5)で概要を確認せよ(第一二章)。
■課題二 ヨーロッパの主要国におけるローマ法の継受について、文献(6)、文献(7)、文献(8)、文献(9)、文献(10)で調べよ(第一二章)
■課題三 ドイツの国制史と司法について、文献(11)、文献(12)、文献(13)で調べよ(第一三章)
■課題四 近世法のさまざまな側面について、文献(14)、文献(15)、文献(16)、文献(17)で調べよ(第一三章)
■課題五 近代の刑法の特徴について、文献(18)、文献(19)、文献(20)で確認せよ(第一四章)
■課題六 魔女裁判について、文献(21)、文献(22)、文献(23)などで調べよ(第一四章)
■課題七 ルネサンスと人文主義における法学の位置について、文献(24)、文献(25)、文献(26)、文献(27)などで確認せよ(第一五章)

-----------------文献リスト-------
文献(1)上山安敏『法社会史』(みすず書房、1966年)
文献(2)M・ウェーバー『法社会学』(創文社、1974年)
文献(3)P・ヴィノグラードフ『中世ヨーロッパにおけるローマ法』(中央大学出版部、1967年)
文献(4)P・スタイン『ローマ法とヨーロッパ』(ミネルヴァ書房、2003年)
文献(5)K・W・ネル『ヨーロッパ法史入門』(東京大学出版会、1999年)
文献(6)F・ヴィーアッカー『近世私法史 特にドイツにおける発展を顧慮して』(創文社、1961年)
文献(7)山口俊夫『概説フランス法』(東京大学出版会、1978年)
文献(8)F・W・メイトランドほか『イングランド法とルネサンス』(創文社、1979年)
文献(9)小山貞夫『イングランド法の形成と近代的変容』(創文社、2002年)
文献(10)戒能通厚ほか『スコットランド法史』(名古屋大学出版会、1990年)
文献(11)F・ハルトゥング『ドイツ国制史』(岩波書店、1980年)
文献(12)山本文彦『近世ドイツ国制史研究 皇帝・帝国クライス・諸侯』(北海道大学図書刊行会、1995年)
文献(13)渋谷聡『近世ドイツ帝国国制史研究 等族制集会と帝国クライス』(ミネルヴァ書房、2000年)
文献(14)上山安敏編『近代ヨーロッパ法社会史』(ミネルヴァ書房、1987年)
文献(15)黒田忠史『西欧近世法の基礎構造』(晃洋書房、1995年)
文献(16)村上淳一『近代法の形成』(岩波書店、1979年)
文献(17)江村洋『中世最後の騎士 マクシミリアン一世伝』(中央公論社、1987年)
文献(18)足立昌勝『近代刑法の実像』(白順社、2000年)
文献(19)若曽根健治『中世ドイツの刑事裁判』(多賀出版、1998年)
文献(20)H・リュービング『ドイツ刑法史綱要』(成文堂、1984年)
文献(21)上山安敏『魔女とキリスト教』(講談社学術文庫、1998年)
文献(22)I・アーレント、シュルテ『魔女にされた女性たち 近世ドイツにおける魔女裁判』(勁草書房、2003年)
文献(23)牟田和男『魔女裁判 魔術と民衆のドイツ史』(弘文館、2000年)
文献(24)J・ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』(中公文庫、1974年)
文献(25)P・O・クリステラー『ルネサンスの思想』(東京大学出版会、1977年)
文献(26)O・フラーケ『フッテン ドイツのフマニスト』(みすず書房、1990年)
文献(27)M・シュトライス『一七・一八世紀の国家思想家たち』(木鐸社、1995年)

『概説 西洋法制史』(ミネルヴァ書房)に依拠