フランスのルネサンスと宗教戦争(課題版)

中山 元

フランスのルネサンスと宗教戦争

12 ルネサンスと宗教改革

12.1 一六世紀初頭のフランス、フランス人
 12.1.1 フランスの領域、人口
  ▼当時のフランスの人口状況について
 12.1.2 国民意識
  ▼フランス人は国民意識を持っていたか
  ▼国民意識の誕生の限界はどのようなものだったか
12.2 イタリア戦争と国際政治
 12.2.1 シャルル八世とナポリ征服
  ▼シャルル八世のイタリア戦争の動機はどのようなものだったか
  ▼シャルル八世のナポリ占領に対して列強はどのように対応したか
 12.2.2 ルイ一二世とミラノ公国
  ▼ルイ12世はイタリア戦争のために外交政策をどのように変更したか
  ▼ルイ12世のヴェネツィアとの勝利に対して教皇はどのように対応したか
 12.2.3 フランソワ一世の登場
  ▼フランソワ一世は外国からの支援を求めてどのような政策を展開したか
 12.2.4 継続する戦争
  ▼アンリ二世の新しい政策はどのような成果を生んだか
  ▼イタリア戦争の終結について
 12.2.5 オスマン帝国との外交関係
  ▼フランソワ一世とオスマン帝国の外交関係について述べよ
12.3 王権の強化
 12.3.1 王権拡大の手段
  ▼王権を拡大するためにどのような障害が取り除かれたか
  ▼王権を拡大するためにどのような新たな支配手段が作り出されたか
 12.3.2 司法、慣習法の成文化
  ▼当時のフランスの司法制度について述べよ
  ▼王権による司法制度の改革はどのような成果を生んだか
 12.3.2 王権の誇示
  ▼王権を誇示するためにどのような政策がとられたか
12.4 新しい文化の台頭
 12.4.1 ルネサンスの影響
  ▼フランスにおけるルネサンスの受容を三つの時期に分けて示せ
 12.4.2 人文主義者の活動
  ▼人文主義とは何か、また人文主義の三つの特徴をあげよ
  ▼フランソワ一世は人文主義をどのように支援したか
 12.4.3 人文主義と印刷術
  ▼人文主義は印刷術をどのように活用したか。ラブレーの言葉をあげよ。
12.5 宗教改革
 12.5.1 宗教改革の原因
  ▼宗教改革の原因となった背景の状況をあげよ
 12.5.2 教会改革運動
  ▼エラスムスの教会改革運動について。「キリスト教兵士必携」の特徴を述べよ
  ▼デタープル改革の試みについて
  ▼ブリソネの改革はどのようなものだったか
 12.5.3 宗教改革運動の開始
  ▼フランスにおけるルター主義の伝播と教会側の対策について
  ▼宗教改革の弾圧事件の実例
 12.5.4 フランソワ一世の態度
 12.5.5 カルヴァンとフランス
  ▼フランソワ一世はどのような姿勢をとったか
  ▼檄文事件について述べよ
  ▼1536年という宗教改革の節目について
 12.5.6 ガルヴァンとユマニスム
  ▼カルヴァンはどのような課題を追求したか
  ▼カルヴァンによるニコデミスム批判はどのようなものだったか
  ▼カルヴァン神学のもたらした成果について
  ▼カルヴァンとユマニスムの関係はどのようなものだったか
 12.5.7 迫害の激化
  ▼王権は宗教改革にどのような迫害を加えたか
 12.5.8 改革教会の組織化
  ▼改革教会はどのように組織されていったか
 12.5.9 貴族の参加
  ▼貴族による宗教改革への参加はどのような結果を生んだか

13 宗教対立の時代

13.1 ヨーロッパの中のフランス
 13.1.1 フランスとカトリック神会
  ▼16世紀後半の宗教戦争の主役は誰か
  ▼ハプスブルグ家の特徴と抱えていた問題について
  ▼フランスの宗教戦争に対する外部からの介入にはどのようなものがあったか
 13.1.2 フランスとプロテスタント陣営
  ▼フランスの新教徒と外国の関係について
  ▼スコットランド問題の意味
  ▼ドイツとフランスの新教徒をめぐる問題について
 13.1.3 フランスとイスラム勢力
  ▼フランスはなぜトルコと友好関係を結ぼうとしたか
13.2 社会と宗教
 13.2.1 時代の心性
  ▼新旧両派の暴力の意味について
  ▼異端の汚れ
  ▼暴力儀礼の背景について
  ▼ボタンと悪魔論
 13.2.2 農村の世界
  ▼16世紀フランスの農村における宗教
  ▼当時の農村における社会的な分極化について
 13.2.3 都市の世界
  ▼都市と宗教改革の関係は
  ▼都市と農村の関係は
  ▼王権はどのような形で産業規制を行ったか
 13.2.4 貴族の世界
13.3 宗教戦争
 13.3.1 宗教戦争の勃発
  ▼宗教戦争の勃発状況について
  ▼第一次宗教戦争
  ▼第二次宗教戦争
  ▼第三次宗教戦争
 13.3.2 聖バルテルミの大虐殺
  ▼聖バルテルミの大虐殺の状況
  ▼第四次宗教戦争
  ▼第五次宗教戦争
  ▼第六次から第八次までの宗教戦争
 13.3.3 三アンリの戦い
  ▼カトリック同盟の成立
  ▼三人のアンリとは誰か
13.4 国政の諸理論
 13.4.1 ペンの戦い
  ▼当時のペンの戦いについて述べよ
 13.4.2 暴君放伐論
  ▼暴君放伐論の背景
  ▼「暴君に対する反抗の権利」の四つの問いと答え
  ▼カトリックの抵抗論
 13.4.3 主権論の台頭
  ▼ポリティーク派とはどのようなものか
  ▼ジャン・ボダンの理論
  ▼立法主権論の意義について
13.5 アンリ四世の治世
 13.5.1 秩序の再建
  ▼アンリ四世の課題と実績
 13.5.2 シュリーの登用
  ▼財務卿シュリーによる財政改革
 13.5.3 宗教政策
  ▼ナントの勅令の意義
  ▼ガリカニスムとコンコルダート

「ルネサンスと宗教改革」と「宗教対立の時代」の課題

■課題一 カルヴァンの思想
 文献(1)によって、カルヴァンの生涯と思想の概要を確認し、主要な問題点を提示せよ。また文献(2)によって、カルヴァンの『キリスト教梗要』の思想の概要を把握せよ。さらに文献(3)によって、宗教改革の全体の動向におけるカルヴィニズムの役割を示せ。
また論文(1)と(2)、ならびに論文(3)を読んで、カルヴァンの政治思想と宗教思想の結びつきを考えよ。

■課題二 フランスの宗教改革と宗教戦争の歴史
 文献(4)によって、フランスの宗教改革の状況について考察せよ。文献(5)によってフランスの宗教戦争の状況を概括せよ。とくに聖バルテルミの虐殺の状況と背景について、文献(6)で説明せよ。
 なお文献(7)を読んで、ユグノーの反乱の背景と当事者の思想と信条について調べよ。
さらに文献(8)によって、ユグノーの叛乱の歴史的な状況を考察せよ。

■課題三 フランス・ルネサンスの諸相
 文献(9)と文献(10)によって、フランス・ルネサンスの主要な登場人物について述べよ。とくにラブレーについて、文献(11)と文献(12)でその特色を示せ。
また文献(23)によって、ルネサンス王政と都市の関係を考察せよ。

■課題四 フランス・ユマニスムの動向
 文献(13)によって、フランスのユマニスムを他の地域のユマニスムと比較せよ。

■課題五 フランスの政治思想の歴史
 文献(14)と文献(15)によって、ジャン・ボダンの思想とその背景を考察せよ。文献(16)によってフランスのガリカニスムの登場の背景、主要な理論家、理論の内容について述べよ。また論文(4)を読んで、近世フランスにおける王の地位について考察せよ。さらに論文(5)を読んでボダンの国家論と魔女論を調べよ。

■課題六 王権とイデオロギー
 文献(17)と文献(18)によって、当時の王権の象徴とイデオロギーについて考察せよ。

■課題七 民衆文化
 文献(19)によって、当時の民衆文化の概要を一覧せよ。文献(20)によって、リヨンを実例としながら、当時の民衆の読書や娯楽について考察せよ。また文献(21)によって、民衆のシャルヴァリについて述べよ。さらに文献(22)によって、民衆の祝祭について考察せよ。
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文献リスト
○文献(1) 久米あつみ『カルヴァン』(人類の知的遺産28、講談社、1980年)
○文献(2) 田上雅徳『初期カルヴァンの政治思想』(新教出版社、1999年)
○文献(3) R・ストフェール『宗教改革』(文庫クセジュ、白水社、1970年)
○文献(4) N・Z・デーヴィス『愚者の王国 異端の都市』(平凡社、1987年)
○文献(5) J・リヴェ『宗教戦争』(文庫クセジュ、白水社、1968年)
○文献(6) Ph・エルランジェ『聖バルテルミーの大虐殺』(白水社、1985年)
○文献(7) カヴァリエ『フランス・プロテスタントの反乱』(岩波文庫、2002年)
○文献(8) S・ムール『危機のユグノー 一七世紀フランスのプロテスタント』(教文館、1990年)
○文献(9) L・ルフェーブル『フランス・ルネサンスの文明』(創文社、1981年)
○文献(10) 渡辺一夫『フランス・ルネサンスの人々』(岩波文庫、1992年)
○文献(11) M・ラザール『ラブレーとルネサンス』(文庫クセジュ、白水社、1981年)
○文献(12) M・バフチン『フランソワ・ラブレーの作品と中世ルネサンスの民衆文化』(せりか書房、1973年)
○文献(13) 渡辺一夫『フランス・ユマニスムの成立』(岩波書店、1976年)
○文献(14) 清水尊大『ジャン・ホダンと危機の時代のフランス』(木鐸社、1990年)
○文献(15) 佐々木毅『主権・抵抗権・寛容』(岩波書店、1972年)
○文献(16) A・J・マルティモール『ガリカニスム フランスにおける国家と教会』(文庫クセジュ、白水社、1987年)
○文献(17) F・イエイツ『星の処女神とガリアのヘラクレス』(東海大学出版会、1983年)
○文献(18) R・ストロング『ルネサンスの祝祭 王権と芸術』(平凡社、上下巻、1987年)
○文献(19) R・ミュシャンブレッド『近代人の誕生 フランス民衆社会と習俗の文明化』(筑摩書房、1992年)
○文献(20) 宮下志郎『本の都市リヨン』(晶文社、1989年)
○文献(21) 二宮ほか編『魔女とシャルヴァリ』(新評論、1992年)
○文献(22) Y−M・ベルセ『祭りと叛乱 一六〜一八世紀の民衆意識』(新評論、1990年)
○文献(23) 小山啓子『フランス・ルネサンス王政と都市社会―リヨンを中心として』(九州大学出版会、2006年)

○論文(1) 柿沼博子「カルヴァン政治思想における自由論の意羲(一)」(法学会雑誌 49(2), 311-356, 2009-01-29)
○論文(2) 柿沼博子「カルヴァン政治思想における自由論の意羲(二)」(法学会雑誌 50(1), 235-281, 2009-08-28)
○論文(3) 田上雅徳「カルヴァンの「契約」論、その政治思想的含意」(法学研究 76(12), 81-110, 2003-12)
○論文(4) 矢吹 久「Rex christianissimus : 十四・五世紀フランスにおける国王信仰とその政治思想史的意義」(法學研究 71(9), 75-106, 1998-09-28)
○論文(5) 菊池恵梨香「ジャン ・ ボダンにおける家と国家」(『中世思想研究』第49号、2007年)

世界歴史体系『フランス史』(山川出版社)に依拠